よしかわたかもり・67歳・自由民主党・前自民党衆議院議員
インタビュー日:2017年10月9日
「孫がいればうまく笑顔が作れるんだけど……」
1.政治家を志した理由
2.教育
3.政策とは
4.安全保障
5.沖縄の在日米軍基地
6.共謀罪
7.アイヌ
8.原発
9.小選挙区制
*札幌市市議会議員の五十嵐徳美さんも同席していました。
1.政治家を志した理由
――政治家を志した理由は?
政治家に育ってきたんですよ、秘書をやって。だからいつのまにかそれが自分の仕事だという思いになっちゃったんですね。鳩山邦夫さんていう方の、この間ガンで亡くなっちゃいましたけど、彼が28で国会議員になるときに私は25歳かな、大学卒業してすぐ。それからずっとこの世界。だから人間的にはかたわですよ。政治しか知らない。
2.教育
――大学全体として、授業料が高いです。北大では、学部生の3割、院生の4割が奨学金を借りています。それにもかかわらず、北大自体に予算が少なく、研究費が少なかったり、非正規雇用の職員が増えています。
北大から毎年、大学の予算を増やしてほしいっていう要望を受けてますよ。でもそれは北大だけじゃなくて、教育大学とか、国公立、今は国公立とは言わないけども。ただ、文部科学省とかも、最近査定っていうのが厳しくて、いかに特色をその大学が出しているかとかね、そういうのを総合的に考えて交付金ていうのを出しているんですね。果たしてその仕組みがいいかどうかは議論があるところなんですよ。でも、予算を配分するかってときには、いかにその大学がこれから進もうとしている研究にしても、教育にしても、そういったことを総合的に考えて交付金ていうのは税金ですからね、私は正しいかなとは思ってはいるんだけれども、あまり四角四面に考えてもあまり地方は育たないかなって気持ちもしますしね、そこで、このような、文部科学省の予算ではなく、地方の大学の応援をしようと、言うような政策ていうのが出てきているということですね。
で、北大生の約3割、4割が奨学金。我々(吉川さんは10年前に北大の公共政策大学院を卒業した)のときも仲間の連中は奨学金はすごく多かったですよ。まあその奨学金の制度っていうのは、返さなきゃならないでしょ。その制度を改めた方が良いかもしれないね。全く返さなくてもいいってことではなくて、何十年もかけて返すのもおかしい話で、そういうことっていうのは今改めた方が良いのかもしれないよね。でもかといって今すぐどういう制度にしたらいいかっていうのは、これからいろいろと議論しなければいけない。返さなくてもいい奨学金ていうのもあるでしょ。だから、大学院にいたときは返さなくていい奨学金をみんな一生懸命もらってましたけどね。そこはこれから色んなことができるでしょうね。
それとやはり、今度の選挙で我々が公約をしようとしているのは、大学に入るときの高等教育の負担を軽減しよう、ってそういったことはこれからやりますよ。それだとか、若い方が、これからはやはり働き方改革でしょ。長時間の残業だとか、そういうことではなくて、もっと、のびのび、のびのびって言ったらおかしいけど、負担のかからないように働き方改革っていうのは必要だと思いますね。まあ労働組合のみなさんとも、良いところまで話をしてきたんだけど、残業時間は、年間か?、あれ、月か?100時間ていうのは(五十嵐さん:月です)月か。そこまで連合の会長と話は済んで、それでいきましょうとなったのが、そんなの駄目だとか言われて元に戻っちゃったとかね。だからやっぱりこれから、特にね、18歳人口ていうか高校生の有権者のみなさんなんかは働き方改革ちゅうのはものすごい注目をしている。それは、早急に改革というのはやらなきゃだめで、と思いますね。
3.政策とは
ひとつ言いたいことがあるの。政策ってなんだと思いますか?逆に聞くけど。
――政策?……社会を良くするための計画案とか、そういう……。
政策は、私は、こう思うんです。我々が生活をしている中で、すべてそうなんですけども、理想を持ちますね。理想の社会っていうのは、理想の社会っていうのをみんな描きます。でも現実がありますよね。その現実を理想に近づけるために政策ってのはあるんですよ。
だから例えばね、身近な話を、最も簡単に話をするとね、18条のエルムトンネル*1っていうのがある。あれはなんでエルムトンネルができたのか分かります?分からないよなあ。あそこの辺は、北大生の事故が多かったんです。でも、国はお金がない。札幌市もそんなに投資をすることができないってことで、道路を改装することができなかったんですけれども、そこで国と市が話し合いをして、そういった北大生の、事故が多い地域の問題を解消しようとってことで、エルムトンネルができた。私は、そこの開通式にも行ってますけども、だから、エルムトンネルのようなものができればいいなっていうのは理想なんですよ。でも現実は、お金がないから、予算がつけられないから、できないっていうことだった。でも、現実から理想に近づける、そこで、そこの政策が、事故をなくするための政策はなんなんだってことで、エルムトンネルと。これまさしく政治、政策なんです。これが、公共政策なんですね。私が学んだ、北大で。
それから、政治は、不可能を可能にする、それが政治だと思います。なぜ不可能を可能にできるか。法律で縛られていて、こんなこと絶対できませんよ、っていうことが、立法府っていうのは法律を変える、法律を作るところです。ですから、ある程度不可能だったということが可能になる。ていうのが政治、だから楽しい、楽しいっていうか必要な、大切なんですね。そういう気持ちをみんな持たないとだめ。段々なんかそういう精神が薄れているような気がしてなりません。
*1 エルムトンネル:北海道大学18条門の前にある、正式名称環状線エルムトンネル。2001年に開通した。
4.安全保障
――2015年に成立した安全保障関連法案は、各地でデモが起こったり、多くの憲法学者から違憲であると言われたり、問題を抱えているように思います。
自民党がそれを推進した方ですから。なぜこの、関連の制度を推進したかっていうとですね、正直言って、日米関係というのは、安倍政権、自民党政権ができるまで少し冷え込んでいたんですね。民主党とオバマ政権のときにですね。それが4年9か月前に自公政権に戻ったときに、再構築をしなければならないってことで、アメリカと日米間をしっかり再構築しましょうってことで、それで始まったのが安保法制、だと思ってます。その中には、秘密保護法だとかって言って、例えば、なんかこう3人で集まって話をしていることが、秘密保護法で捕まっちゃうとか、摘発されちゃうとか、そんな話もあったけど、そんなことは全然ないんであって、この2つの法律で、アメリカは日本に安心して、情報をくれるようになったんですよ。今まではその情報っていうのは、全く後で、色んな出来事が起きてから情報を出してくれてたんですけど、今は違うんですね。だから、日本の国が信頼される国になったんですよ、アメリカに。それが安保法制、簡単にいうと。
だから、北朝鮮からミサイルが、発射される、事前に通知があるわけでしょ、今まではそれはなかった。日本にそんな話をしたら、大変なことになる。そんな秘密的なことを伝えられない、ってそういう関係だった。ものすごく簡単な言葉で言うと。それが今は、発射した瞬間にJアラートっていうの、それがビビッて鳴るんでしょ。俺の携帯鳴らないんだよ、なんでだろ?(五十嵐さん:設定の問題です)そうか……(笑)。
今やっとね、みなさんがそういうことを分かってくれるようになってきたんですよ。今までだと、ミサイルが発射して30分か40分経ってからやっと韓国から、アメリカから連絡ありましたって防衛省がそういう説明をする。今はもうミサイル発射の前に分かってますよ。ただ、我々には、そういう秘密的なことがあるから、ミサイル発射されそうですよなんてことは言いませんよ、政府はね。発射をされたということが確認されてから、北朝鮮がミサイル発射しましたっていうことを知らせてくれますけども。
5.沖縄の在日米軍基地
――沖縄の、普天間基地の辺野古移設について、多くの県民、県外の人が反対しています。
沖縄の県民の気持ちはものすごくよくわかりますけども、でも普天間っていうのは最も危険な飛行場になっていますよね。その普天間を全面的に移転をするっていう、そういう約束になってるわけですよ。それで辺野古に移設をするということに、アメリカとの約束でそうなってるんですね。だから、沖縄の、ものすごい反対運動が起きたりだとか、そういうのは分かりますけれども、全員が全員反対してるわけじゃないでしょ?沖縄県民も、辺野古で良いじゃないかって県民ももちろんいますよね。だからそれはやはり、アメリカとの約束で、早く普天間を返還してもらって、で、辺野古に移すっていうのが、今の内閣、自民党の考えですから、私はそういう風にした方がいいんじゃないかと思っていますね。
ただ沖縄の負担軽減ていうのは、どこでそれを受けるの?っていう、北海道でも、別海町だとか、そういうとこで演習やりましたけど、北海道で演習をやると、なんで沖縄の演習を北海道に持ってくるんだ、って北海道の人は反対しますよね。それは基地を、航空機を、オスプレイにしても少なくする、山口に持ってくるってなると山口の人は反対しますよね。なかなかね、難しい沖縄を理解しながらも自分たちのところに来るとみんな反対するでしょ、そこを政治が上手にリードしながら理解をいただく、そういう丁寧な説明っていうのは必要なんじゃないですかね。それはやはり世界平和だとか、日米の関係とか、同盟強化とかで、必要だということでそういうことをやってきてるわけですよね。
まあ演習だとかそういうことが全部なくなればいいけれど、世界の国ってそんなに甘くないでしょ、いろいろと情勢見てると。まあ、最低必要なことをやっているということ。普天間を早く移転をしてほしいですね。とても危険なところですよ。それには辺野古しかないんじゃないでしょうか。
5.共謀罪
――今年の春にテロ等準備罪、通称共謀罪が成立しました。新たに277つもの犯罪が増えた上、多くの世論調査で「審議が不十分」という結果が出たり…
あなたは本当にそう思ってるの?
――私は、はい。
そう思ってるの、じゃああまり議論しない方がいいんじゃない、それは(笑)。本当にそう思ってるんだったら。テロ等準備罪は悪い法律だと思ってるんですか?
――悪いというか、その、危険な方向にも行き得る法律というか……。
どういう危険な方向に行くんですか?
――例えば、一般人の定義が曖昧というのが一番私は怖くて、よく分からないし……。
第三者に聞いてみてください(笑)
五十嵐さん:第三者というか、一人の国民として、これだけ世界がテロ行為、イギリス等々ね、日本国内において懸念されることばかりよりも、目の前の危機管理というもので、本当にテロというものを抑止するためには、一定の抑止力が必要だと思うんです。そうすると、懸念することばかりメディアは、多分マスコミの話を聞いてそういう風に思っているんだろうけど、どのマスコミも、このテロ等準備罪を良しとするのは、まあ、全国紙でいうと産経新聞くらいであって、他の色んな新聞の論調は、全部反対だよね。それは、冷静な判断ではなくて、ある意味、安倍内閣を倒そうという恣意的な論調とすら感じる部分はある。
――それは、ちょっとあるというか、それで、実際にお話を聞きたかったというか……。
五十嵐さん:なるほどね。多くの自民党支持者はそういう風に思ってますし、ただ本当に、さっき言った、安保法制も、ルールがないと情報がこなかったという、誰が何をしても情報がこない。でも現実問題、居酒屋でさ、3人が集合して、安倍晋三のヤローコノヤロー(と言っただけで捕まる)ということを懸念するかのような伝わり方してるけど、そんなんで逮捕なんかされることありえない。本当に、水面下でテロに近づくようなものは内偵しながらも、本当にここは押さえないと危険なことになる、ということを想定した決まりだから。基本的に、一般の人は(ない)。拡大解釈で、あまりにもひどすぎる伝え方、煽ってる。
あのねー、俺笑っちゃったけど、花見を見物に行って、望遠鏡を持ってったら逮捕される、お茶やお酒だったら逮捕されないとか。
五十嵐さん:そんなのありえないでしょ。でも恐れちゃったんだね。
――色んなところでそう言っていますし……。*1
五十嵐さん:まあでもね、僕らが安倍晋三あの野郎と、おかしいなじゃないかと、言うと、それは言論の自由の範囲だからさ、全然問題ないよ。そこに行動が伴いそうな環境になればそれはやっぱり抑止されなければいけない部分はある。けして、戦前の統制下のようなものに置き換えられてるけど、そんなことは絶対ないです。国民は今度それを許しませんよ、いまのこの時代。
許さないよね、それは。
五十嵐さん:まあそれは、そんなことをしようとしない限りを前提にしてるんだよ。しようとしたらそれは捕まるさ。(そうでなければ)問題ないです、大丈夫です。
凶器を持って準備をして、それで何かテロを起こそうだとか、国家を転覆させようだとかね、そういう集団が、表れてくると、それは対象にもちろんなるんですよね。だけど個人が対象になるなんてことはありえないですよ。
例えばですね、来たる選挙選、「安倍帰れ安倍帰れ」ってこうやってるじゃない。すごいことを。あれだってテロ等準備罪の全然対象にならないじゃないですか。ものすごいオープンですよ、日本の国は。
今年の8月、9月にイギリスとフランスに行ってきたんですよ。すごい厳しいですよ。テロが起きたでしょ、行ったときの地下鉄で火事が起きて。もう軍隊が町を警備で歩いてるんですよ、イギリスなんかは。警察じゃなくて。物騒でしたね。日本の国はそんなことにはならないですよ。ただやっぱりテロ集団には、2020年の東京オリパラに向けて、非常にやっぱり気になるところの問題だよね。狙われないとは限りませんからね。そういったことがやっぱり抑止力っていうのをきちっと法整備をしておかないと、間に合わない。起きてからでは間に合いませんからね。だから最低の、テロ等準備罪を作ったと、感じていただけませんかねえ。
――そういうの(一般人の逮捕を)許してしまうような文言が入っていたりとか……。
それは内閣が勝手にやれるような話じゃないですから、そのために政治っていうのが、民主主義の国家っていうのはそのために政治がきちっとあるわけですから。
五十嵐さん:独裁国家ではないからね
それは政治家が許しませんよ。そうなるのは。
自民党の選挙事務所です。見覚えのある名前がずらり。
*1 色んなところでそう言ってる:実際に、金田勝年法務大臣が答弁していた。ビールと弁当は花見、地図と双眼鏡は… 「共謀罪」例示 朝日新聞2017/04/29
7.アイヌ
――来年北海道は「命名」150年ですが、北海道は元々アイヌが暮らしていて、今も暮らしている土地です。ですが、今あるのは文化政策ばかりで、奪われた土地や貧困、差別の問題についての政策が不十分だという指摘があります。
北海道大学出身の阿部千里ちゃんて、私のところにインターンで来てたことがあるんですよ。
――新党大地の。
そうそう新党大地で今度比例2番目でね、出るんだけどね。彼女ともとても仲良くしてるんですよ。お父さんとも仲良くしてますしね。
今、このアイヌ政策に関しては、国も先住民族と認めました*1。画期的なことなんです。それまでは、アイヌ文化振興法*2というのができましたけれども、ずいぶん前に。それから、国会で決議をしたんですよ。アイヌは、先住民族だと。画期的なことなんですよ。衆参両院で決議をした。そこから、政府の中に、官房長官が座長になって、アイヌ政策推進会議*3っていうのが出来上がりました。で今も、年に何回か会議を開いています。その第一弾として、アイヌ民族のための博物館を白老に作るということになりました。象徴空間もできました。で私も、座長代理を、農林水産副大臣のときに務めていました。で、アイヌ政策の超党派の議員の中で、私はその超党派の議員の幹事長もやってます。アイヌ政策に、私はものすごく熱心に取り組んでいる一人だと思っています。
で、今度、アイヌ政策推進会議、政府がやることは何かというと、それは単に文化振興法てだけではない、象徴空間ができて、民俗博物館ができてそれで終わりではない、アイヌの色々な教育生活含めた、アイヌのための新法を作ろうと。新法の中身というのはこれから。その推進会議でいろいろと話し合われると思いますけど。私のチラシでもアイヌ新法の実現ていうのは書こうと思ってます。
女性だけの会合をアイヌのみなさんが作ったしね。権利を確立しようと。やっぱりDVだとか、目に見えないところで、あるんですよ。だからそういうのをやはりアイヌの人権ていうのはしっかり確立してやらなければならない。アイヌを応援してあげてくださいよ。アイヌのみなさんが「私はアイヌです」と堂々と言える社会にしてあげないと、と思いますね。
*1 アイヌを先住民族として認める:衆参両院は2008年6月6日の本会議で、「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」をそれぞれ全会一致で可決した。
*2 アイヌ文化振興法:正式名称「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」 1997年施行。
*3 アイヌ政策推進会議:公式サイト 内閣官房アイヌ総合政策室内閣内閣官房アイヌ総合政策室官房アイヌ総合政策室
8.原発
――2011年、東日本大震災で起きた、福島第一原発事故で、今でも避難して暮らしている人がいます。北海道に唯一ある泊原発は今稼働停止していますが、北電は再稼働に向けての準備をしています。
安全規制委員会ていうのが極めて厳しい条件ていうか、調査を北電に命じてますよね。今防潮堤なんかも、もう一回見直しをして、新しくやってくださいと、それから積丹半島に、あそこは活断層があるんじゃないか、(活断層で)できた半島じゃないか、その辺もきちっと調査をしてください、その調査がクリアできないと、泊3号機の再稼働っていうのは安全規制員会は許可しないんだと思いますね。まあ、どうなるかは分かりません。我々は安全規制員会に対して働きかけなんて一切しませんから。しちゃいけない。
反原発脱原発、いろいろありますけど、正直言うと、私は、脱原発依存。自分ではね。あまり無責任に言っちゃうとお叱り受けるかもしれない。でも、エネルギーミックスというのをしっかりこれからも見直しをしながら作っていくということですよね。で、今は再エネがものすごく増えてますよ。で、北海道電力も再エネ、かなり力入れてますよ。火力だけでは、もう無理なんですね、発電は。高い石炭を買って、火力の発電をやらなければならない。発電所そのものがかなり古くなっているという話も聞きますしね。あとは水力ですか、風力もあれば、太陽光。太陽光発電ていうのは限界きてますね。
これから北海道で最も可能性があるのは地熱だと思います。私は超党派の地熱議員連盟の事務局長なんですよ。地熱のシンポジウムも今年は函館でやる予定なんですよ、10月に。八雲で今ボーリングやってますよ。地熱はね、時間がかかるんですよ。発電にするまでに、10年くらいかかると言われている。なんとか早くできないか、そのためには、ここには地熱がいっぱいありますね、発掘作業だとか、そういうのも時間かかるし、あとは環境省が、ものすごい厳しい、アセス*1を求めるんです。それを今まで4年くらいかけてアセスをやってきた。それを我々が、4年もかけてたら、地熱発電がもっと遅れるじゃないかってことで、2年に短縮した。大雪山系でもやってますよ。地熱良いと思いませんか。温泉業者で反対する人もいますよ。温泉熱が無くなるんじゃないかって。温泉の熱の層と地熱の熱の層は何千メートルも違う。だから熱そのものがなくなるなんてことはありえない。もう科学的にそれは実証されてんですよ。でも温泉関係者は心配だって。そこはまあ色々あって、難しい問題でもありますね。
*1 アセス:環境アセスメント(環境影響評価)。環境に大きな影響を及ぼす恐れがある事業を実施する場合、あらかじめ事業者自らが環境への影響について、調査、予測、評価を行い、その結果を公表して、一般の人々や地方公共団体等から意見を聞き、環境保全の観点からよりよい事業計画を作りあげていく制度。(地熱資源情報より抜粋)
9.選挙区
――今は小選挙区制度が主ですけど、死票が多いとか、政局によって動きやすいとか、問題が多くあります。
私はね、元々ね、小選挙区制といのは良い制度じゃないと思ってるんですよ。なぜ小選挙区制にしたかというと、お金がかかりすぎるだとかね、自民党でいうと派閥争いで候補者、自民党が中選挙区で5人区なんていうことになると、自民党から2人が出て。これだけ時代が変わって有権者のみなさんが色んなことを考えるようになった時代に、果たして小選挙区制でたった一人を選ぶのが良いのかなっていうそんな感じはしますね。だから、たとえば全国150の選挙区にすればですよ、3人区にすれば450人、今から15人、国会議員を減らすことができますよ。そういった選挙制度のあり方というものも考えていったほうが良いんじゃないでしょうか。そうすると死に票が少なくなりますよね。と、私は思います。
常に考えてますよね、それは。果たしてこの小選挙区制は良いのかどうなのかっていうことは。だって東京なんかさ、世田谷区なんてのは、区議会議員の選挙区よりも小さいんだよ。国会議員の。これはそこに住んでいる人数によって決まるんですよ、大体。選挙の区割り審*1ていうのがあって、区割りをやるときには、人口で大体50万人。今度は2倍を超えてはいけないってことで、この2区も、1区に編入された地域がある。区が割れちゃったりする。東京なんか典型的ですよ。同じ区民なのに選挙区が違う。良い制度じゃないですよ、そういうのは。
(五十嵐さん:今一票の格差が問われてるでしょ。でもそうなると大都市圏に全部人口が分散しようとしてるものが集中するじゃない。特に田舎、地方都市は、人口が減ってきてるから、その比率だけでいくと、地元の代表者、地方の代弁者が出れなくなるのね、逆に言うと。だから大都市だけの代議士とか政治家しか生まれないと。ある意味ここは、憲法改正論議の一つにも、将来的にはしていかなきゃダメだって思ってますよ。北海道でいうと札幌は大都市だから、そういう弊害はないものの、地方都市の方々はもう命がけで政策要望をしている、ということだったり。特にここ札幌市の東区北区は人口集積地だから狭いですけど、もう北海道の北部の方行ったりしたら、600kmとか700km走らなきゃいけない*2。丸一日移動しないといけない。この選挙制度自体が、公平という名の元の一票の格差が、まあどこまで良いのか悪いのかっていう議論はあるものの、都市部だけの意見が政治に反映されてしまう、ものすごい弊害と危機感を持っています)
本当にそれでいいのかって気はするよね。だから私なんかはね、(札幌市)東区北区っていうのは、農家なんかももちろんあるんだけど、ごく僅かですよ。でも私は北海道の農業をやってるし。水産もやるし。都市部から出て行ってたりとか。北海道全体として。やる人が段々いなくなってきてる。だからそんな話をね、有権者のみなさんにすると「俺らんとこ農業もそんなのないのに吉川さんなんでそんなとこ力入れてんだよ」って言われることあるけど。それは北海道のためなんです。そういうのは必要なんですよ。だから小選挙区制になると、そういったこともやらなくなってきちゃうんですよ。自分のところが農業や水産がないから関係ない、海もないしってなっちゃう。でも私は水産(の政策)もやる。大切じゃないですか、資源なんつーのは。
*1 区割り審:衆議院議員選挙区画定審議会。
*2 下は北海道の小選挙区の区割り。(画像は衆議院小選挙区の区割りの改定についてより。一部改変,色分け)12区の稚内市から斜里町までは移動距離350km。(名古屋から東京までとほとんど同じ移動距離)
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